コーヒー豆といえば、ビニール袋などに入ったものが一般的ですが、ペットボトル入りのものもあります。ペットボトルに入ったコーヒー豆は見た目にインパクトがあるだけでなく、機能性もすばらしいのです。そんな頼もしいペットボトル容器が急激に進化を遂げ、コーヒー業界で話題となっています。
2016年3月22日の記者会見に参加し、発表された情報をまとめましたのでどうぞお読みください。
目次
ペットボトル入りコーヒー豆の始まり
コーヒー業界ではじめて容器にペットボトルを採用したのは、「Mi Cafeto (ミカフェート)」。代表の川島良彰(かわしま・よしあき)氏は、世界屈指のコーヒーハンターとして知られた人物です。もともと同社は、最高級・最高品質のコーヒー豆をはシャンパンボトルに詰めて販売していました。これとはまったく違うコンセプトで開発したCOFFEE HUNTERS(コーヒーハンターズ)というブランドでペットボトル容器を採用しました。豆の劣化防止のため、ボトルには窒素を充填し残存酸素を1%以下にするなどの工夫がなされています。
おしゃれなコーヒーハンターズシリーズ
このコーヒーハンターズシリーズの容器が、4月1日販売分の商品より、「さらに長期間・高レベルで保持すること」を目的としてリニューアルされることになりました。その名も「ハイバリアPETボトル」。このハイバリアPETボトルを製造するのは、アルコール飲料などの容器で知られる三菱樹脂です。ワインや清酒、ビールなどのアルコール飲料の容器として、業界に先駆けて採用されており、その需要は大幅に伸長しています。
さて、新しいペットボトルでコーヒー豆を保存した場合の保存状態はどのように変わるのでしょうか?
石光商事株式会社・研究開発室の協力で行ったコーヒー粉の成分検査では、従来のPETボトル(炭酸飲料等に使用される耐圧容器)と比べ、コーヒーの主要な香気成分)が約1.5倍も保持できる結果となりました。
ペットボトルでコーヒー豆を保存するメリット
ペットボトルならではの軽量性や割れにくさを保ったまま、ダイヤモンドライクカーボン膜のコーティング技術を採用することにより、通常の約10倍の酸素バリア性などが得られ、内容物の品質の劣化を防ぐことができるようになりました。
石光商事株式会社研究開発室の協力のもとで、従来の容器と新容器で香気成分の比較検査をすると、3週間経過時点で、従来のペットボトルの約1.5倍のアロマが保たれることがわかりました。アロマとは、一般的に「香り」のこと。香りを楽しむコーヒーにとって、アロマとは“命”のようなもの。アロマがどの程度保たれているかがコーヒーの品質評価に大きな影響を与えるわけですから、新容器の実力は折り紙つきとなりました。
ペットボトル入りコーヒー豆の使い方・楽しみ方
ペットボトルのフタを開けると、まるで炭酸飲料を開けたときのよういシュワっという爽快な音がして、あたりにコーヒーの香りが立ち上ります。
このシュワっという音の正体は炭酸ガス。このガスは、放出されるときにコーヒーの香りを連れていくので、なるべく逃がさないようにするのがポイントです。開栓後はすぐにフタを閉め、1週間以内に豆を使い切るのが理想的です。フタをすれば、残った豆からさらに炭酸ガスが出てきてボトル内に溜まり、次に開けるときにまたシュワっと音が出ます。このとき、ガスと一緒に豆が飛び出す可能性もあるので、ゆっくり開けるのがポイント。ボトルは開栓前も後も冷暗所で保管しましょう。
また、豆は粉に挽くと外気に触れる面積が広くなるので、劣化(酸化)が早まります。そのため、淹れるときは、使う分だけ容器から取り出してミルで挽くようにしましょう。炭酸ガスがしっかり残った豆(粉)は、お湯を注ぐと、おもしろいほどふくらみます。香りも抜群で、コーヒーを淹れるのが楽しくなります。