日本まで余波がやってきて、一世を風靡したアメリカ発の「サードウェーブ」。一杯一杯丁寧に淹れて、豆の本来の持ち味を活かすための浅煎りにして味や香りを楽しむスタイルは、もともと北欧から発祥したともいわれています。つまり、最初に北欧でスペシャルティコーヒー人気が高まり、それがアメリカに渡り、アメリカでスペシャルティコーヒーが勃興したというわけです(諸説あり)。
さて、東京・富ヶ谷にも、ノルウェーのオスロに本店がある『フグレントウキョウ』が上陸し、北欧のゆったりと暮らしを楽しむライフスタイルに憧れる女性を中心に、圧倒的な人気となっています。ですが、ノルウェー以外の北欧諸国はあまり知られていませんが、どの国もコーヒーのレベルは高めです。
冬が長い北欧では、カフェでも自宅でも「ちょっとお茶にしましょうか」と、日に何度も、たくさんの量を飲む習慣があります。飲み方はストレートが中心で、最近は抽出方法はエアロプレスが人気のようです。
ここではコーヒー目当てで旅してみたい、北欧諸国のコーヒー事情をお届けします。
目次
デンマークのコーヒー文化
いままでにバリスタチャンピオンを多く輩出してきた北欧は、世界のコーヒー文化を牽引する存在です。デンマークには「ヒュゲリ」(くつろぎ)という、国民みんなが大好きな言葉があります。ヒュゲリに欠かせないのが、人を誘ってカフェや自宅でゆっくりとコーヒーを楽しむ時間。おいしいコーヒーを淹れて、おやつと一緒に楽しむ時間が何よりも大事にされているのです。デンマークのカフェ&おやつタイムに欠かせないのが日本でもおなじみのデニッシュ。デンマーク風のパンという意味で、バターと卵をふんだんに使ってサクサクに焼き上げたものです。
デンマークについて語るべき点がもうひとつ。それは、フレンチプレスで有名なボダム社です。実はこちら、デンマークの会社なのです。「フレンチプレスといえばボダム」といわれ、世界中のコーヒーのプロが愛用しています。ですが、最近、ボダム社から「プア オーバー」というドリップ式の愛らしいコーヒーメーカーも新発売され、こちらも人気となっています。
ノルウェーのコーヒー文化
バリスタの世界大会でチャンピオンを続々と輩出するなど、世界のスペシャルティコーヒーの流れを牽引する存在です。また、満を持して日本にも出店した『フグレントウキョウ』(本店はオスロ)のほか、国内に魅力的なカフェがたくさんあります。
また、世界中から集まるスペシャルティコーヒーを審査する国際品評会の「カップ・オブ・エクセレンス」の入賞豆を、ヨーロッパで最も仕入れているのがノルウェーの『カッフェ・ブレネリーエ』。ノルウェー最大手のコーヒーチェーンです。
スウェーデンのコーヒー文化
スウェーデンには「フィーカ」という言葉があり、直訳すると「コーヒーを飲む」、「くつろぐ」などという意味になります。家族や仲間と語らいながら楽しむコーヒータイムは、スウェーデン人に欠かせない日課になっているそうです。
また、国内では実力派のコーヒーロースター(焙煎所)が続々と誕生し、スペシャルティ品質のコーヒーがどんどん身近なものになっています。
フィンランドのコーヒー文化
北欧のなかではコーヒーの消費量はトップクラス。スペシャルティコーヒーがブームとなっており、バリスタチャンピオンがカフェをオープンさせるなど、コーヒーに関する話題に事欠かない。
アイスランドのコーヒー文化
『Kaffitar』というコーヒーチェーンが有名。まだ世界チャンピオンは生まれていないが、世界バリスタ選手権で好成績を残しており、今後の発展が楽しみです。
※本稿執筆のため、森百合子著『コーヒーとパン好きのための北欧ガイド』(スペースシャワーブックス、2013)を参考にしました。